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マダガスカルの哺乳類は大陸から漂着

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インド洋マダガスカル島に生息するワオキツネザルオオコウモリといった哺乳類の祖先は、丸太などの漂流物に乗ってこの島にたどり着いたということが最新のコンピューターモデルで示された。ライオンシマウマがマダガスカル島に打ち上げられて新しい生活を始めるというアニメ映画マダガスカル』は、あながち嘘でもなかったようだ。



 アフリカ大陸南東部に生息していた哺乳類が嵐で海に流され、大きな木の幹や草木でできた“絨毯”に乗ってマダガスカル島に“漂着”したとする説は70 年前から唱えられており、今回のモデルはこの説を裏付けるものだ。遭難した古代の動物たちは海流に乗って大海原を数週間漂った末にマダガスカル島に到達したという。



 マダガスカルの哺乳類については漂流説のほかに、大陸移動消滅するまでアフリカ大陸とマダガスカル島の間にあった陸橋を渡ってきたとする説もある。しかし、遺伝学的証拠や生態学的証拠から見ると漂流説の方が理にかなっている。



 漂流説の問題点の1つは、マダガスカル島付近の現在の海流と卓越風が、いずれも東から西に、つまりアフリカ大陸から島に近づく方向ではなく、島からアフリカ大陸に向けて離れる方向に向かっていることだった。しかし今回、通常は地球温暖化の研究に使われるコンピューターシミュレーションを使用した結果、 5000万年前の海流は現在よりもマダガスカル島に漂着しやすいものだったと考えられる。



生物学者たちの言うとおりだった」と、アメリカインディアナ州にあるパデュー大学古気候学者で今回の研究に参加したマシューフーバー氏は話す。



マダガスカル島の哺乳類が陸橋を渡ってきたとする説の弱点は、現在のマダガスカル島に主に4種類の哺乳類しか生息していないことだ。これらの哺乳類はアフリカ大陸にいる哺乳類の遠い親戚にあたるが、どれも体が比較的小さい。「アフリカとマダガスカルの間に陸橋があったのなら、ゾウやライオンといった大型の動物が渡って来なかったのはなぜだろうか」とフーバー氏は疑問を投げかける。



 さらに遺伝学的証拠から見ると、マダガスカル島の哺乳類は数百万年の間隔で断続的にやって来たと考えられる。キツネザルがおよそ5000万年前に移動したのを皮切りに、ハリネズミに似たテンレック、続いてフォッサなどマングースの仲間の肉食動物が移動し、最後に齧歯類(げっしるい)が2400万年前に来たという。



 漂流説の方が生物学的証拠と一致することから、フーバー氏と、今回の研究の共著者である香港大学ジェイソンアリ氏は、マダガスカル島周辺の海流が時間とともに変化したのではないかと考えた。



 実は5000万年前のアフリカ大陸とマダガスカル島は、大陸移動のために現在の場所よりおよそ1600キロ南に位置していたと両氏は指摘する。そこで、古代の地球の海洋データと大気データを最新の気候モデルに当てはめると、当時のアフリカ大陸とマダガスカル島の付近の海流は、予想どおり西から東に、すなわちアフリカ大陸からマダガスカル島に向かって流れていたことがわかった。



 フーバー氏は、海流が最も速く流れていた場合でも、430キロ離れたマダガスカル島に漂着するまで約3週間かかったと推測する。「今回のシミュレーションから、このような非常に速い海流が起こることはめったにないと考えられる。おそらく100年に1カ月程度だっただろう」。そして、小型の哺乳類はそもそも代謝が低いため、それほど多くの食料や真水がなくても数週間は生きることができたはずだと両氏は推測する。



 今回の研究に参加していないが、論文の掲載にあたって査読を担当したデューク大学キツネザル・センター長アンヨーデル氏は、新発見を次のように評価する。「とても興奮した。結果自体には驚いていないが、そのような結果が出たことに満足している。私にとってこの論争は決着した。マダガスカル島の哺乳類はアフリカ大陸から海を漂流してマダガスカル島に来たのだ」。



 一方フーバー氏は、今回のコンピューターシミュレーションは他の生物学的な謎の解明にも役立つ可能性があると期待する。「サルがどのようにして南アメリカ大陸に到達したのかを説明できないか検討するつもりだ。古生物学の研究成果から、サルが南アメリカ大陸にたどり着いたのは始新世(5580万~3390 万年前)、つまり南アメリカ大陸が他のどの陸地とも繋がっていなかった時期と考えられるからだ。彼らもアフリカ大陸から漂流物に乗って来たに違いない」。



 この研究は2010年1月20日に「Nature」誌オンライン版で発表された。



by imasu6 | 2010-01-22 13:31

なんてことない、ダラダラ綴り
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